猫が食べると危険な植物を知っておこう
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私達の気持ちを和ませてくれる植物達。季節折々の花々は、時節の移り変わりを実感させてくれ、部屋にある観葉植物は、狭い空間を広く感じさせてくれたり、心地よい空間の 演出をしてくれます。これらの植物達、一部食用植物は食べても害はありませんが、中に は猛毒を持つものもあります。また人には無害でも、猫にとっては害となるものもありま す。
猫は、退屈を紛らわしたり、また胃の中の毛玉を吐き出すために植物の葉をかじるこ とがよくあります。『猫は苦みの味覚の発達が悪いと言われています。事実猫用の薬で、 我々がなめるとものすごく苦くて、しばらくその味が口の中に残るようなものでも、猫に 与えるとさほどいやがらずに飲んでしまいます。同じ薬を犬に与えると、大変なことにな ります。ですから苦いから食べたりしないだろうと安心しないで下さい。』今回は、室内 の観葉植物を中心に、猫に害のあるものを紹介します。
植物によって引き起こされる中毒は、まだよく分かっていない部分が多くあります。皆 さんが一番関心があるのは、種類とどれだけ食べると中毒を起こすのかということだと思 いますが、種類はまだしも、量についてはほとんど分かっていません。今回も種類と症状 を中心にご紹介しますが、量については記載できませんでした。植物の発育環境や、猫の 状態によって千差万別だからです。1例をあげると、タマネギ中毒。犬での話ですが、昔 私がまだ大学院生だった頃、学生実習につきあってタマネギ中毒についての実習をしたこ とがあります。15匹ほどの犬にタマネギを数個ずつ与えましたが、下痢を起こした犬が 2〜3匹いただけで、中毒は1匹も起こしませんでした。ところが病院にやってくるタマ ネギ中毒を発症した犬は、タマネギのスープを1口盗み飲み?しただけで発症しています。 このような実例を統計処理すると中毒を起こす量はタマネギ半分以上食べた場合となって しまうのです。事実本にはそう書いてあります。でもタマネギに弱い子は、ほんの少しの 量で発症してしまい、命に関わってきます。ですから量については判断が難しいところな ので、今回は記載しませんでした。
もし、植物を食べたり触ったことが原因で中毒症状を起こしたら、直ちに吐かせる必要 があります。症状が出てきていると言うことは、有害成分の吸収が始まっているわけです から、時間的余裕はありません。直ちに動物病院に連絡して急行して下さい。有害成分を 食べた現場を見つけた場合には、口の中に残っているものをつまみ出して下さい。葉の大 きさを確認して飲み込んでいるようなら、吐かせる必要があります。それも1時間以内に です。直ちに動物病院に連絡を取って下さい。動物病院に行くときは、植物の種類を確認 していくことと、その葉を一緒に持っていって下さい。できれば食べた残りも一緒に。 |
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デージー:
ヒナギク属のデージーは、接触性の皮膚炎を起こします。原因物質は、花粉を除いた全 ての植物の部分に含まれる、ミニテルペンラクトンという物質です。刺激性がありますの で食べた場合には嘔吐することがあります。葉の汁が直接皮膚に接触すると炎症を起こし、 痒がり皮膚が赤くなりふけが多くなります。反応は即時性です。発見したら直ちに洗って 下さい。発赤が広範囲な場合には、動物病院で処置してもらって下さい。
アジサイ:
日本の梅雨の風物詩のアジサイ。室内観賞用にも欧米で品種改良されています。このア ジサイで危険なのは蕾です。蕾の中のhydranginが消化器内で青酸に変化します。この青酸 は猛毒で、致死性です。ある程度以上の蕾を食べると痙攣を起こし、昏睡に陥り、呼吸麻 痺で死亡します。少量でも、嘔吐、沈鬱、元気消失などの症状を呈します。食べたことが 分かれば直ちに、動物病院へ行って胃洗浄してもらって下さい。処置が遅れると重大なこ とになります。
カラー:
オランダカイウの別名のあるカラー。危険なのは葉です。葉の中に含まれるシュウ酸カ ルシウムの針状結晶と、未確認の蛋白成分が原因物質です。口に入れば、口内炎や舌炎を 引き起こし、皮膚に触れると、刺激性の皮膚炎を起こします。生命に危険を及ぼすことは まずありません。治療は、触れた部分を冷水で洗浄して下さい。ひどい場合には動物病院 で処置してもらって下さい。(フィロデンドロンの項参照)
マーガレット:
キク属のマーガレット。原因物質その他デージーと同じで、ミニテルペンラクトンとい う物質が原因物質です。新しく買ってきた鉢植えに、臭い付けをしようとすりすりしてい るうちに、葉がちぎれてその汁が皮膚に触れると炎症を起こしますから気を付けて下さい。 マーガレットやデージーを新しく買ってきてからふけが多くなるようでしたら、1度猫か ら離してみて下さい。
ブリムラ類 :
サクラソウ属のプリムラ類。危険な部分は、葉と茎です。葉や茎に含まれる刺激性物質 が原因で、接触性の皮膚炎や、口内炎、嘔吐や下痢を起こしまが、原因物質の特定はされ ていません。多量に食べた場合には、胃洗浄が必要になります。皮膚炎は、石鹸と水で洗 い流してください。ひどい場合には、動物病院で処置してもらってください。
アザレア:
ツツジ属のアザレア。危険な部分は葉と、蜜から作られる蜂蜜で、原因物質はその中に 含まれるグラヤノトキシンと呼ばれる毒素です。感受性の高い猫が多量に口にすると、涎 が出て激しい嘔吐に始まり、徐脈、痙攣を起こし、昏睡に陥り死に至ることもあります。 食べたことがわかった場合には、直ちに動物病院につれていってください。胃洗浄を行う とともに、心機能の監視が必要になります。
イエロージャスミン
ゲルセミウム属のイエロージャスミン。カロライナジャスミンともいわれる。植物全体 に含まれるゲルセミンとその関連アルカロイドが原因で、運動失調や嚥下困難を引き起こ し、ひどい場合には痙攣発作や呼吸筋麻痺を起こして死亡することがあります。治療は、 早い時期の胃洗浄および活性炭の投与。神経症状がある場合には、そのコントロールが必 要です。発見し次第、動物病院へつれていって下さい。
ストレリチア:
あまりなじみがないかもしれませんが、極楽鳥花ともいわれています。危険な部分は種 子です。種に含まれる、タンニンが、嘔吐や下痢をひきおこします。よほど感受性が高い 猫でない限り24時間ほどで回復します。下痢、嘔吐が続く場合には、胃腸炎の治療が必要 です。
フィロデンドロン:
カラーと同じく、危険なのは葉です。葉の中に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶 と、未確認の蛋白成分が原因物質です。報告者によって症状はまちまちです。軽いものは 口内炎や接触性皮膚炎ですが、ひどくなると痙攣などの神経症状を呈し、腎機能停止をと もない死に至ることがあると言われています。原因物質がカラーやポトスと同じですから、 これらの植物にも同じことが言えるかもしれません。
ポインセチア:
クリスマスの花として有名なポイセチア。危険な部位は、葉と茎です。そこに含まれる 複合テンペルが原因で、嘔吐や下痢を引き起こします。一般的にはさほどひどい症状は出 さないはずです。生命に危険を及ぼすことはまずありません。症状が続くようなら、動物 病院で診察を受けて下さい。
ポトス:
オオゴンカズラともいわれるポトス。危険な部位は、植物全体です。原因物質は、カラー やフィロデンドロンと同じシュウ酸カルシウムと未確認蛋白成分です。症状も同じく、口 内炎や皮膚炎です。皮膚炎などを起こしたなら、冷水で洗い流して下さい。(フィロデン ドロンの項参照) |
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その他 |
野菜:
ジャガイモやナスなどのナス属ナス科の植物の、未熟果実に含まれるソラニンという物質が追嘔吐や下痢を引き起こします。古いジャガイモから出てきた芽の根本にもありますから注意して下さい。そんなにひどくなることはありませんが、元気がなくなったり、嘔吐が続くようなら動物病院へ診せに行って下さい。 タマネギやニンニクに含まれるN−プロピルスルフィド、メチルジスルフィド、アリル ジスルフィドという物質が、溶血性貧血を引き起こします。ひどくなると命に関わります。 その他人間が灰汁抜きしてから食べる野菜、たとえばほうれん草とかゴボウは危険ですか ら注意して下さい。
樹木 :
西洋キョウチクトウには、心臓の病気に使う強心配糖体が含まれています。ひどい場合には心臓停止に陥ります。
アンズや桃や桜の種の中の仁に含まれるアミグダリンが消化管の中で加水分解されると青酸を遊離して、元気消失、チアノーゼを呈し、ひどい場合には死に至ります。種をかじって飲み込んだ場合には、吐かせる必要がありますので動物病院へつれていって下さい。
鉢物:
アロエの樹液に含まれる、バーバロインという物質が下痢を引き起こします。ひどい場合には治療が必要になります。
クワズイモの葉と茎に含まれるシュウ酸カルシウムの針状結晶が、口内炎や皮膚炎を引 き起こします。冷水で洗い流して下さい。
切り花 :
一時話題になった、トリカブトの特に葉と根には心機能を抑制するアコニチンという物質が含まれています。ひどい場合には心停止を来しますので、食べたことが分かったら直ちに動物病院へつれていって下さい。 |
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参考資料 「犬猫の小仔科」LLL.Seminar
「小動物内科学全書」LLL.Seminar
「猫の内科学」文永堂出版 |